LS博士は夢をみない

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【書評】教養として学んでおきたい哲学

教養として学んでおきたい哲学 (マイナビ新書)

哲学とは何か

哲学(Philosophy)はPhilo(愛する)Sophy(知)から「知を愛するもの」である。

哲学とは何か?

人生論を語ったもの。違う

難しい言葉遊びをするもの。違う

哲学とは「常識を疑う学問」である。

日常では、ほとんど疑わないような事柄を平気で疑う学問である。それは、「時間」であったり、「空間」であったり、「存在」であったり……

たとえば、「人はなぜ単性生殖ではなのか」を疑ったことはないだろうか?

たとえば、「紙幣はただの紙であるのになぜ物と交換できるのか」を疑ったことはないだろうか?

たとえば、「過去と未来は存在するのか」を疑ったことはないだろうか?

ほとんどの人が疑わない当たり前だと思っている常識を疑うのが哲学である。

哲学者と哲学研究者

大学には哲学科があるがそこで学ぶのは、哲学研究になる。ようは、過去に哲学を広めた偉人に対して、「○○さんの哲学は深い。彼の思考を模倣できるように、彼を研究しよう」とうことである。こういう人たちは哲学者ではなく哲学研究者である。

偉大なる哲学者プラトンの言っていることは全て正しいとする姿勢をもつ、これが哲学研究者である。対して、哲学とは、本来、常識を疑うものであるから、プラトンはこういっているけど、これは正しいのだろうか、というのが哲学者の姿勢である。

言葉で書かれてるから読めるわけではない

哲学を学ぼうとして挫折する人が、最初に思うのが「難しくてよくわからない」である。言葉で書かれているのだから読めば理解できるだろうというは大間違いである。本書では、ヘーゲル「靴作り職人の比喩」で語られた。

ヘーゲルの「靴作り職人の比喩」

靴作り職人は一朝一夕でなれるものではなく、技術の習得や訓練、努力などが必要で、一般人が見様見真似できることではない。

同様に、哲学書は、ただ言葉で書かれているだけで、読み方の訓練や言葉遣いの背景を理解する必要がある。

古代から近代までの哲学史

古代:プラトンやアリストテレスから、近代:マルクスまでざっと一項につき1、2ページで駆け足ですすんでいく。哲学者には誰がいて何を考えたのかを知るにはちょうどいい。哲学書を読もうとするとなると膨大な時間が必要になるが、心に染みる考えだけをスポイトで吸い取っていくのが正しいやり方だろう。

プラトンで言えば、

知識というものは教えられなくてもすでに持っていること、しかし、生まれてくるときにすべてを忘却してしまっていること、すなわち知識とは学ぶものではなく、すべて思い出すものである。

これを本書ではこう、喩えられた。

例えば「犬」というものをどうやって知るかというときに、個々の具体的な「犬」を集めて、それから要素を抽出して、共通なものを集めたものが「犬」であるというのが経験主義的な説明になるのですが、個々の「犬」を集めて……と言うときに、すでに私たちは「犬」という概念を前提にしてしまっているわけです。

 

岡本 裕一朗. 教養として学んでおきたい哲学 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.613-616). Kindle 版.

 これはプラトンの『メノン』で語った考えである。

メノン (岩波文庫)

メノン (岩波文庫)

  • 作者:プラトン
  • 発売日: 1994/10/17
  • メディア: 文庫
 

 合理主義やイデア論に対抗したのがアリストテレスである。彼は、プラトンの合理主義に対して、経験主義を唱えたのだ。

心というものは、もともと何も書かれていない白板(タブラ・ラサ)のようなもので、経験を通して、その白板に様々なモノが書き込まれていく

彼らのどちらが正しいのかは分からない。しかし、彼らの考えは現代の科学技術にも応用ができる。

たとえば、Alの開発である。

・合理主義をとって、論理的なプログラムにするのか

・経験主義をとって、経験論的ないわゆるディープラーニングにするのか

彼らの考えは、現代の科学技術に方向性を与えるのだ。

 

教養として学んでおきたい哲学 (マイナビ新書)

教養として学んでおきたい哲学 (マイナビ新書)