LS博士は夢をみない

Frog In The White Coat.

アニメ『神様になった日』考察。

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©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

Keyがまたアニメを作ったらしい。Angel Beats!世代にとっては期待せずにはいられない。いまでもガルデモの楽曲を心休めたいときに聴いている。


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参考記事

Amazon Prime VIdeoとdアニメストア for Prime Videoの違い - LS博士は夢をみない


この記事について

前半は、物語の理論をもちいて考察、ループ世界という説。

後半は、物語の舞台は仮想世界でプレイヤーとNPCがいる世界という説。

 

神様になった日

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©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

キャッチコピーは

神を殺して世界を守るか、世界を狂わせてまで神を生かすか

眩しいほどに輝いていた 神様だった夏

 前半の考察

【ヒロイン二者択一の法則】:物語でヒロインが二人いるとき、主人公(ヒーロー)はどちらか一方しか救えない法則。物語の理論。

神を殺して世界を守るか、世界を狂わせてまで神を生かすか

にあるように、これは、佐藤オーディンさんを殺してイザナミさんと普通の暮らしをするか、佐藤オーディンさんを救って世界を狂わせるかの選択である。30日後に滅びる世界と自称神は言っていたが、滅びる原因は佐藤オーディンさん自体にあり、彼女を殺さない限りこの世界は狂うことになると読み取った。

「愚かな人類の選択のせいで世界は終わる」(第一話・セリフ)

 とは、佐藤オーディンさんを殺さなかった選択をした人類(主人公・成神陽太もしくは前回は別の人物)の選択である。

タイトル『神様になった日』

今作のタイトルは『神様になった日』とあるが、誰が神様になったのかが重要である。ミスリードのように神を自称しているロリがいるが、物語の理論では、タイトルは主人公に由来する。だから、神様になるのは主・成神陽太である。Keyの作品もありAngel Beats!のときのように苗字に意味を持たせてる可能性がある。(なるかみ)というと”鳴神”を思い浮かべるが、”成る神”にしたのは、主・鳴神陽太が最終的に神に成ることを意味する。

 

AストーリーのヒロインとBストーリーのヒロイン 

物語は最初の数話でAストーリーをみせ、事件が起き、Bストーリーへと移行する。Aストーリーとは平凡な高校生が平凡な生活を送る日常、事件とは何か特殊な能力を得ること、Bストーリーとは特殊な能力を使って過ごす日々である。

 

Aストーリー:平凡な高校生が平凡な日常を送る(アニメ序盤数話)

事件:この物語がフォーカスされる原因となった特殊能力(第四話)

Bストーリー:特殊能力が原因で関わりを持った人々とその世界(第四話以降)

 

AストーリーにはAストーリーのヒロインがいて、BストーリーにはBストーリーのヒロインがいる。

 

Aストーリーには、想いを寄せていた幼なじみがヒロインであり、Bストーリーでは、Bストーリーで知り合った普通の女の子じゃない子がヒロインとなることが多い。大抵、最終的に主人公はBストーリーのヒロインと結ばれることになる。

 

『神様になった日』では、Aストーリーのヒロインが伊座並杏子で、Bストーリーのヒロインが佐藤ロリさんだ、と思うかもしれない。しかし、第一話では【事件】が起こってないのにBストーリーが始まり、Bヒロインの佐藤おでんさんと接触している。これをどう解釈すべきなのか悩みどころだ。

 

仮に、ヒロインAが佐藤ロリさん、ヒロインBが伊座並杏子だとする。この場合、最終的には、成神陽太&伊座並杏子が結ばれることになる。以下、この仮定で考察を進める。

 

「誰が神になるのか」であった通り、主・成神陽太が神になる。伊座並杏子の”イザナミ”、イザナミとは日本神話における創造神である。日本神話にはイザナギ(男神)とイザナミ(女神)がおり、混沌をかき混ぜることで日本を創ったとされる。”神”様になった成神陽太はイザナミと共に新しい日本を創る。

 

この場合、物語の展開はこうなる。

 

佐藤ロリさんを殺して、神になった成神陽太は、イザナミと共に新しい日本を創造する・・・終わり。

 

・・・さて、こんな物語、面白いと思うか? ロリ神様なんででてきた?

 

【ヒロイン二者択一の法則】は絶対にどちらかのヒロインしか救えないものだが、物語をハッピーエンドにするため、もうひとつの展開が存在する。それは、両方のヒロインを助ける展開だ

展開的にはこうである。

 

佐藤ロリさんを殺して、神なった成神陽太は、イザナミと共に新しい日本を創造する・・・が、やはり、佐藤ロリさんを諦めきれなかった。”神”となり万能となった成神陽太は時間を巻き戻すことで、佐藤ロリさんを救うルートを模索する。だが、時間戻しは自身の記憶すら消してしまうデメリットがあった・・・

 

とういう話である。当たり前のようにループ世界だと言ってきたがこういうことだ。

 

”全能”というのは、普通、神といえば”全知全能”であるが、修道女のロリはわざわざ”全知”だといっているからだ。

全知のヒロインがいるのなら、対になるのは、全能の主人公(ヒーロー)である。

 

では、別の仮定を考えよう。

第一話では【事件】が起こってないのにBストーリーが始まり、Bヒロインの佐藤おでんさんと接触している

の別の解釈である。以下、別の解釈を考察する。

 

物語の構成は本来は次のようになる。

 

第一話・Aストーリー

第二話・Aストーリー

第三話・Aストーリー

第四話・事件1

第五話・Bストーリー

第六話・Bストーリー

第七話・Bストーリー

第八話・Bストーリー

第九話・Bストーリー

第十話・Bストーリー

第十一話・事件2

第十二話・クライマックス

 

物語の理論においての王道。

Aストーリーでは、平凡な高校生が平凡な日常を送るシーンをみせることで、Bストーリーとのコントラストやギャップを作る。また、平凡な日常ゆえに視聴者が容易にその世界に没頭できるようにする要素である。逆に、平凡すぎるゆえに、つまらない話になりやすい。(キャラを増やしてAストーリーを盛り上げるという創作側の話もある)

ここで脚本家は、Aストーリーをどう面白くみせるか工夫する。たとえば、Bストーリーの見所のカットをAストーリーに挿入したり、第一話冒頭で意味深なシーンを挿入したり、ギャクを多用したり・・・

さらに言うと、事件1で主人公が特殊能力を得るのだけど、第一話で特殊能力をすでに獲得してAストーリーを平凡な日常と特殊能力の使い方を知る話にするパターンがある。

『神様になった日』は下線部のパターンに一致する。

つまり、下線部を言い換えると、『神様になった日』では、

第一話で謎の少女・ひなと出会い、平凡な日常を過ごしながら謎の少女・ひなの正体を知る話

 

これが『神様になった日』のAストーリー(四話付近まで)の内容である。

 

まだ、登場していないキャラは、映像研の妹、映像研のOG(女)、弁護士(女)、天才ハッカーの少年、謎の組織のCEO(女)、エージェント風の男。あと、母、父、バスケ好きな親友がいる。

Aストーリーでは、平凡で楽しい日常を描くのだから、第二話は映像研、第三話はバスケ、主・成神陽太の母と父がいる家庭に馴染んだ謎の少女・ひなが描かれる。

ちなみに、公式ホームページには、成神陽太の父、母の説明があるのだけど、一般人であることしか書いていなかった。わざとらしく書いているのは、成神陽太が普通の人間であることの強調である

 

物語の舞台は仮想世界でプレイヤーとNPCがいる世界である

ここからは、飛躍した考察になるので予めご了承願いたい。

”世界が滅びる””全知の神””ハッカー”

佐藤おでんさんは、全知の神を自称しているのに、主人公の名前すら知らないし、バスケを知らないわりに、この先何が起こるかは知っていること。それはまるで、新しい世界に降り立ったかのような反応である。

つまり何が言いたいかというと、主人公・成神陽太の住む世界は、忠実に再現されたコンピュータの世界であるという可能性だ。仮想世界、仮想現実、バーチャルリアリティと呼ばれるものである。

成神陽太の住む世界が中の世界だとすると、その世界を開発した外の世界が存在する。謎の少女・ひなは外の世界からやってきたという可能性だ。

たとえば、海外ではカバディというスポーツがあるのだけど、試合中は「カバディ、カバディ、カバディ……」と発声し続けなければならないというルールがあるんだ、と言われた人々の反応は、第一話において、バスケをみたひなが興味をもち、いざやってみようとすると、穴に入れるのになんの意味があるのだ? と疑問に思う反応に似ている。なんでカバディなんだ・・・?

この仮説なら、何が起こるのかはシステムから分かるが、仮想世界で広まった文明・固有名詞は知らないという状況を生み出せる。

雨が降る、バスが止まるのはシステムから分かるが、主人公の名前は知らない。だが、イザナミが野球好きだと知っていたのでこれは矛盾する。

 

物語の舞台は仮想世界でNPCが存在する

矛盾を解消すべく、次に考えたのが、外の世界と関わりのある人類が一定数いて、システム上生み出された人類が一定数いる可能性だ。つまり、NPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)である。確かAngel Beats!にもNPCの設定があったからこのアイディアを持ってくるのは大いに考えられる。

 

そして、たまたまメモ書きのつもりで前述した(母と父が一般人である説明から)成神陽太が普通の人間であることの強調であるというのは、成神陽太はNPCではない、という意味だとも読み取れないこともない。

 

この説が正しいと仮定するならば、

 

伊座並杏子(イザナミ キョウコ)の野球好きが知れたのはシステムから生み出されたキャラクター(NPC)であるから、野球で何がくるのかわかったのはNPCであったから、でも主・成神陽太の名前を知らないのは外の世界のプレイヤーだからである。

 

成神陽太の母が見知らぬ少女を知った風にしていたのは外の世界のプレイヤーであるためだ。 

そして30日後に世界は滅びるというのは、コンピュータの世界なら考えられることにサービスの終了や致命的エラーの発生が考えられる。 

 謎の少女・ひなの正体

主・成神陽太の住む世界がコンピュータの世界で、その世界にはプレイヤーである人類とシステムから生み出されたNPCである人類が存在するとしたとき、謎の少女・ひなの正体は自然と導かれる。  

まず考えるべきは、謎の少女・ひなは、プレイヤーかNPCかである。システムに干渉ができ、システムのことなら言い当てることができるのなら、プレイヤーである。しかし、ただのプレイヤーだと”世界を滅ぼす”というトリガー(致命的エラー)にはなり得ない。

主・成神陽太の住む世界がコンピュータの世界でシステムに干渉できるのは、外の世界のプレイヤーに限り、NPCはシステムの存在すら感知できない。かつ、大人のプレイヤーは中の世界と外の世界を自由に行き来できることにする。主・成神陽太の母が、謎の少女・ひなのことの何を知っていたことのは、外の世界で得た知識である。

 

つまり、謎の少女・ひなはNPCがシステムに干渉できるようになった存在、エラーである。

 

ゆえに、30日以内にこのエラーを取り除く(殺す)ことが必要な状況がつくられたわけだ。

主・成神陽太の母がひなのことを知った風にしたのも、外の世界にいったとき(ログアウトしたとき)、このコンピュータの世界にHINAという修道服をきた少女エラー(バグ)が徘徊してるのを知ったからである。

 

ループ世界か仮想世界か

前半の考察では佐藤おでんさんがこれから起こることを言いあてることができたのは、世界がループしているからと語った。だが、後半では、仮想世界を仮定し、一定数のプレイヤーと一定数のNPCがいる世界で、システム上のことは言い当てることができることを語った。つまり後半の考察があれば、別にループ世界である必要はない

”全知の神”であるのに知っていることと知らないことがある。もし、ループ世界ならもっと深く知っているはずである。私はここで、”全知の神”本人ではなく他者によってループさせられたと考えた。自ら関わりをもっていった成神陽太の名前すら知らなかったのは、前回、ループ前の世界では別の人物に接触した可能性があったからだ。

だが、”全知の神”であるのに知っていることと知らないことがある、というのは、システムのことなら知ることができるが、プレイヤーのことは知れないというので説明ができる。

「愚かな人類の選択のせいでこの世界は終わる」(第一話・セリフ) 

 もまた、この仮想世界を開発したこと自体が間違いであったとも解釈できなくもない。ならば仮想世界の考察のほうがより正解に近い気がする。

 

 

NPCがいる世界だと仮定して物語の理論の考察(蛇足)

主・成神陽太の世界が仮想世界で一定数のプレイヤーと一定数のシステムから生み出されたNPCがいる世界だとして、再考察をする。

 

神になるとはどう言う意味か?

 これは神を自称するロリが仮想世界のシステムに干渉できるようになったことから、この物語において、神というのはシステムに干渉できる存在、と推論できる。神になるということは、外の世界へいきこの仮想世界のプログラムを書き換えることができる人物になるということだ。作中で天才ハッカーがでてくるのも自然である。

 

眩しいほどに輝いていた 神様だった夏

一時の幸せ、純粋な感動を与えるためには、儚さを描けばいい。これはNPCでありながらシステムに干渉できるようになった神を自称するロリが、自身を神だと勘違いした一夏の物語。エラーであるからこそ、排除されるべきであり、カウントダウンがある。

 

こういう意味ならば、主・成神陽太が”神”になる展開はないのかもしれない。だが、主・成神陽太はエラーである彼女をデリートする役目をもつことができるのだ。

 

神を殺して世界を守るか 世界を狂わせてまで神を生かすか

「愚かな人類の選択のせいでこの世界は終わる」(第一話・セリフ) 

なぜ神を自称するロリ(エラー)が生まれたかというと、誰かによって生まれさせられた、または、自然発生したからである。

 自然発生したのなら、この仮想世界を開発したことでエラーは自然に発生し開発したこと自体が間違いだったと解釈できる。これは先ほど述べたものだ。

 しかし、誰かによって人為的にうみだされたのではわけが違う。この仮想世界を壊そうとする悪の組織がいて、人為的にエラーである「ひな」というウイルスを開発したということだ。

 「愚かな人類の選択のせいでこの世界は終わる」とは、”悪”に分類される人類が「ひな」というコンピュータウイルスを開発した選択こそがこの世界の終わりだと解釈できるのである。この解釈だと、悪の組織が登場するのも自然になる。

 そして「神を殺して世界を守るか 世界を狂わせてまで神を生かすか」

自然発生にしろ人為的にしろ、エラーである「ひな」は排除されるべき存在である。だからこその、二者択一のキャッチコピーである。

 

終わり

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参考記事

Amazon Prime VIdeoとdアニメストア for Prime Videoの違い - LS博士は夢をみない

追記2020/10/14

後半の考察NPC仮想世界だが、ロリ神様が成神時子(主・成神陽太の母)の行動(宿泊を許可すること)を予測できた→成神時子はNPC

成神時子はロリ神様のことを外の世界で知っていた→成神時子はプレイヤー

となり矛盾し、NPC仮想世界説は破綻した。